ノートパソコンに外付けでグラフィックを接続できる時代になってきました。
そのおかげでモバイル性を保ちつつも、自宅では高性能なグラフィックにより映像関係の処理能力を高めることが可能です。つまりGPUのオンとオフで2通りの使い方に対応ができるということです。
そんな夢のような製品がパソコン工房にあると聞き、早速お願いして「SENSE-14FH054-i7-RNSS」をレンタルさせていただくことができました。
それでは実機を手に取りながら、ベンチスコアをとってレビューしていきます。パソコン工房のGPU BOX付きノートパソコンを検討している人は参考にしてもらえるかと思います。
目次
パソコン工房「SENSE-14FH054-i7-RNSS」のレビュー!
パソコン工房はBTOショップの中でも人気が高く、製品ラインナップが多いことが特徴です。またパーツの販売も行っていることから、自分で自由にパーツを組み合わせて好きなパソコンに仕上げることが可能です。
今回お借りした「SENSE」というモデルは、写真や映像、イラストといったクリエイター向けのラインです。そのため、一般向けのパソコンよりも高性能なパーツで構成されています。
SENSE-14FH054-i7-RNSSは、外付けのGPU BOXが付属しているのが最大の特徴です。デザインもスタイリッシュでカッコ良く、製品自体の品質が伝わってくるようです。
CPUにはCore i7を搭載し、外付けGPUにはコスパが高いことで人気のGeForce GTX1060(6GB)を搭載しています。この組み合わせであれば、RAW現像や、動画編集(フルHD)、イラストといった用途にも積極的に使えます。さらに外付けGPUを外して使えば、モバイル性能も高いという、1度で2度美味しいノートパソコンに仕上がっています。
それでは実際の使い心地を含めて、レビューしていきたいと思います。
SENSE-14FH054-i7-RNSSのスペック表
OS | Windows 10 Home 64ビット |
CPU | Core i7-8550U |
グラフィックス(外付け) | GeForce GTX1060(6GB) |
メモリ | 8GB |
SSD | 240GB Serial-ATA SSD |
HDD | - |
液晶 | 14型(非光沢フルHD) |
サイズ | 約幅330mm×奥行226mm×高さ20mm |
重量 | 約 1.5kg |
詳細スペック | 公式HPで確認する |
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
CPU「Core i7-8550U 」の性能
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i7-8700 | 15171 | 3.2GHz(4.6GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Core i7-8750H | 12573 | 2.2GHz(4.1GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i5-8400 | 11745 | 2.8GHz(4.0GHz) | 6コア6スレッド | 45W |
Core i7-8550U |
8309 | 1.8GHz(4.0GHz) | 4コア8スレッド | 15W |
本機に搭載されているCore i7-8550Uは、ノートパソコン用の省電力タイプのCPUです。4コア8スレッドと充分な性能を持ちながら、わずかに15Wという消費電力は持ち歩きの多いノートパソコンには武器となるでしょう。電源が確保できないカフェで使う時や、外出時にも重宝するはずです。
そのため、処理能力は若干低めとなっています。クリエイティブ作業にはCPU性能が求められることが多いので、これからのテストでどのような影響が出てくるのか注目していきたいポイントです。
CPU-Zによるベンチスコア
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core i7-8750H | 439.5 | 3120.7 |
Core i7-8550U | 421.0 | 1534.1 |
Core i7-8550Uのスコアは「シングルスレッド421.0」「マルチスレッド1534.1」となりました。シングルでの処理は十分に高いのですが、マルチのスコアは少々低めとなっています。モバイル用の上位モデルCPU、Core i7-8750H比較してしまうとどうしても見劣りしてしまいます。
CINEBENCHによるスコア
CINEBENCHによるスコアは「540」でした。Core i7-8750Hなら1000を超えるスコアを出すので、処理能力を優先したいシーンで選ぶにはちょっと物足りないスペックになっています。
ストレージ性能
メインストレージは240GB SSDです。ちょっと容量が少ない気はしますが、外付けHDDなどでうまく対処できれば十分でしょう。メインPCとしてソフトをたくさんダウンロードして使うのであれば、カスタマイズで容量を増やすほうが無難です。
・Cドライブのスコア
標準搭載のSSDはSATAとしては普通のスコアです。HDDよりも高速なのでキビキビしていて不満を感じることは少ないでしょう。
外付けグラフィック(GTX1060)の性能・ゲームスコア
SENSE-14FH054-i7-RNSSの最大の特徴が、外付けのGPU BOXにあります。今回はコレを使いたいがためにレンタルをお願いしました。後ほど写真で紹介しますが、デザインが優れているのでこのまま置いておきたいくらいでした(笑)
CINEBENCHのベンチマーク
結果は65.11fpsでした。以前にテストしたGTX1060(Max-Q)でも100fpsは超えていたので、思ったよりもスコアが伸びていません。
・GTX1060搭載の高コスパPC「DELL G5 15」レビュー
重いゲーム(FF15)のベンチマーク
標準品質 | 1920×1080 | やや快適(4733) |
標準品質 | 3840×2160 | 重い(2156) |
軽量品質 | やや重い(2923) |
重たいゲームの代表格であるFF15ですが、結果的にはフルHD(標準品質)なら快適に遊ぶことができます。ゲーム性能は高めと言ってよいでしょう。とは言え、4K解像度はさすがにしんどいようで軽量品質でもやや重いとなっています。設定をかなりいじればなんとか4Kで遊べるかも?といったところですかね。
写真編集・RAW現像にかかる時間は?
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「9分45秒」でした。
撮影に使ったのは2400万画素の一眼レフで、データ容量は5GBです。現像に使ったソフトは無料ソフトの「RawTherapee5.4」で、JPEG品質は90%、高画質での変換です。
これまで色々とクリエイトモデルを使ってきましたが、その中でも一番時間がかかってしまいました。処理はできますが快適とは言えず、RAW現像を頻繁にする人にはおすすめしにくいモデルでしょうか。。ちょっとCPUがボトルネックになっている印象ですね。とは言え、決めた写真を何枚か現像するといった用途には使えますので、ライトな現像作業しかしないという人には検討の範囲内かと思います。
動画性能や処理にかかる時間は?
使用した動画編集ソフトはResolveです。
4K動画(24P)約5分間の映像のレンダリングにかかった時間は、約10分02秒でした。データ容量は3.67GBです。
書き出しの条件は以下の通りです。
・フォーマットはMP4
・コーデックはH.264
・解像度は3840×2160
・フレームレートは24
・品質は最高品質
動画のレンダリングについても、非常に待たされてしまった印象です。最新のパーツなら2分を切れる処理なのに、5倍以上の時間がかかっています。もともと4K動画編集に向いたスペックではありませんが、僕なら動画編集用途としての購入は見送ると思います。(フルHDでも)
×264 FHD BENCHMARKによるスコア
x264 FHD BENCHMARKでは「スコアが17.2」「エンコード時間が2分25秒」という結果になりました。Core i7-8750Hの半分程度のスコアです。
出荷日は?
パソコンがいつ手に入るか気になる人も多いでしょう。パソコン工房の出荷予定日は「注文が確定してから2~5営業日で出荷」です。繁忙期など場合によっては一週間近くかかってしまうことがあるかもしれません。購入時には予定を確認しておくと困らないかもしれません。
SENSE-14FH054-i7-RNSSを開封!
それでは届いたパソコンを開封していきたいと思います。外付けGPU BOXは結構なサイズです。そのため大きな段ボールに、パソコン本体とセットにして送られてきます。
SENSE-14FH054-i7-RNSSの外観写真
パソコン、GPU BOXともにスタイリッシュな外観で所有欲を満たしてくれます。GPU BOXはまだまだ高価なので「ノートパソコンはおまけくらいだろう」だろうと思っていましたが、普及型ではなく上品なデザインになっていました。
14型という選択と、厚みがたった20mmほどしかないのでモバイル性はかなり良いと感じました。これまでは2kgを超える製品が中心で、なかなかモバイルする気になれなかったので嬉しいニュースだと思います。13型よりも視認性が良く、15型よりもコンパクトな14型は、個人的にはこれからのスタンダードになっていくんじゃないか?と期待しています。
14型ディスプレイは一般的なスペックも視認性は悪くない
すでに触れていますが、14型のディスプレイは13型よりも視認性に優れています。ベゼルも狭いことから作業に集中できるのも良いポイントです。「iiyama」の文字も主張が少ないです。
キーボードは一般的な印象
キーボードは特に高級感にあふれているとかではありませんが、打ち心地は悪くありません。キー配列も一般的ですし、この記事も本機を使って書いていますが変に誤タイプをすることもありませんでした。キーボードに気を使わないといけない配置になっていたりすると、それだけでも疲れます。でもそんな心配は無用でしたね。
バックライトもありませんでしたし、筐体のデザインが良いので、キーボードもデザイン性を高めてくれていればより満足でしたね。
外付けGPU BOXの写真
筐体はアルミでしょうか?シンプルなデザインと合わせて好印象です。机においても邪魔にならないデザインというよりも、机に置いておきたくなるデザインですね。
前面にはUSB3.0が2口ついているので、VR端末やマウス、カードリーダーなどの接続に便利です。
背面にもインターフェースが用意されており、結構充実しています。モニターと接続する場合に困るといったことは、まず起きないでしょう。GPU BOXとノートパソコンとの接続はType-Cを活用します。接続しないと、非力な内蔵グラフィックになってしまうので注意!
付属の電源コード、USBケーブル、おそらく振動パッドです。USBの長さが50cmほどしかないので、環境によっては設置しにくいかもしれません。
そして最大の不満は、ノートパソコン側のType-Cの位置です。
おわかりになりますか?この位置はそう!マウスを置く場所なのです!!なぜこのような場所にType-Cを配置してしまったのか謎です。GPUとの接続が前提である製品だとは思えません。はっきり言ってケーブルが邪魔でしかたありません。。
とは言え、USB1本で飛躍的にノートパソコンの性能を高められるのですからメリットのほうが多いです。しかも一度GPU BOXを手に入れれば、他のパソコンに接続して使うこともできます。自宅で眠らせているパソコンが蘇るって人も多いんじゃないでしょうか。
GPUに不満を感じたら、上位のパーツに乗せ換えて使うこともできそうなので将来的な目線で見ても役立つはずです!
電源は550Wあったので、ほとんどのグラフィックは搭載可能と言えます。ファンが一基ついており下から熱を逃がしてくれます。パソコンが休止状態に入った時に冷却する仕様なのか、その時は音がそれなりにします。ちょっとした掃除機くらいでしょうか・・小さい音とは言えません。
普通に使っている分には気になりませんでしたが、静音性を気にする人は相性が悪いかもしれません。
気になるモバイル性は?
ノートパソコンなので持ち出して使うことも想定されていますよね?重量は約1.5kgですから、劇的に軽いという訳ではないですが、持ち出しは可能なレベルです。明るいカラーリングなので重たさを感じませんし、開封したときには思わず「いいねーいいねー」と声を出していました(笑)
ちなみに電源ボタンはサイドに設置されていますので、少し押しにくいです。ただ最近のノートパソコンは液晶を閉じて、持ち歩くような使い方をすることが多いので、電源ボタンの位置はあまり関係ないかもしれません。
バッテリーは本体一体式となっていたので、別途購入して取り換え・・といったことができません。公式HPによると実働時間は「約6.3時間」とのことなので、ビジネスライフをフルに支えるには物足りないでしょう。
幸いACアダプターが小型なので、一緒に持ち歩いても負担は少ないです。
インターフェース
・ヘッドフォン/スピーカ出力 ×1
・マイク入力×1
・USB3.0(Type A)×2
・USB 3.1/Thunderbolt 3兼用ポート×1 (Type-C)
・ディスプレイ出力(mini Display port×1/HDMI×1)
・SD(HC/XC)/MMC対応カードリーダー
インターフェースは充実していると言えるでしょう。Simスロットも一応ありますが使えません。外付けGPU BOXに電源があるので、Type-Cを接続すればAC要らずかと思いましたが本体の充電は不可でした。ホームページ上には「本製品はThunderbolt 3端子を使用した充電には対応しておりません。」とあります。
SENSE-14FH054-i7-RNSSはこんな人におすすめ
- 外付けGPU BOXが気になる人
- 使い分けができるパソコンが欲しい人
- 軽めの編集作業がしたい人
- 設置場所をとらないパソコンが欲しい人
- そこそこゲームも遊べるノートが欲しい人
SENSE-14FH054-i7-RNSSシリーズの感想まとめ
「SENSE-14FH054-i7-RNSS」を開封しながらスコアをとってきました。ノートパソコン単体としても、そこそこ処理能力があり、外付けGPU BOXによって3D性能を飛躍的に高められる本機は、1度で2度美味しいノートパソコンと言えます。
グラフィックにこだわりたいのであれば「GeForce RTX 2080 Tiを搭載したLEVEL-14FH054-i7-XYRX」や「Quadro P4000を搭載したSOLUTION-14FH054-i7-QVRX」を選ぶのも良いかもしれません。
クリエイター目線だとCPUが非力なのが気になってしまうので、処理能力を求めたい人は「Core i7-8750H」搭載モデルを選ぶほうが無難かもしれません。⇒Core i7-8750H×MX150搭載の「STYLE」レビュー
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