パソコン工房が販売しているクリエイターパソコンに「SENSE∞」があります。その中でも「SENSE-R037-i7K-QZR」はプロユースに耐えうるデスクトップパソコンです。
高性能な6コア12スレッドの「Core i7-8700K」CPUと、約10億6433万色の豊かな発色である10bitのカラー出力に対応した「Quadro P2000」GPU搭載で、本格的にRAW現像を楽しむことができます。しかも税別16万円台という非常にコスパに優れたパソコンです。
それでは実機を手に取りながら、スコアをとってレビューしていきます。パソコン工房のパソコンや、Quadro搭載PCを検討している人は参考にしてもらえるかと思います。
目次
パソコン工房「SENSE-R037-i7K-QZR」のレビュー!
出典:パソコン工房
パソコン工房では、CPU、メモリ、ストレージやグラボなどの搭載されているパーツでラインナップが豊富にわけられています。今回はお借りしたパソコンはその中でも、ミドルクラスあたりのパソコンになります。
CPUにはCore i7-8700K、グラフィックにQuadro P2000、大容量16GBメモリ、SSDだって搭載されていて「なんで16万円台?(税別)」めちゃくちゃコスパが高いパソコンだと思います。
Quadroは安定して性能を発揮し続けられるグラボですし、毎日&長時間編集作業をするような人は積極的に選びたいところでしょう。さらにPhotoshopなどでは滑らかなグラデーションを実現し、より高いクオリティのデータ編集が可能です。
4系統のDisplayPortを備え、最大で8K(7680×4320)、120Hzのリフレッシュレートをサポートする「SENSE-R037-i7K-QZR」はまさにプロフェッショナルのためのデスクトップPCと言えるでしょう。
SENSE-R037-i7K-QZRのスペック表
OS | Windows 10 Home 64ビット |
CPU | Core i7-8700K |
グラフィックス | Quadro P2000 (5GB) |
メモリ | 16GB |
SSD | 120GB SSD |
HDD | 2TB |
チップセット | インテル Z370 Express |
電源 | 500W 80PLUS BRONZE認証 |
サイズ | 約幅190mm×奥行485mm×高さ424mm |
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
CPU「Core i7-8700K 」の性能
搭載されているCPUがCore i7-8700K です。デスクトップパソコン用のCPUとしてはかなり高性能です。
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i7-8700K |
15846 | 3.7GHz(4.7GHz) | 6コア12スレッド | 95W |
Core i7-8700 | 15171 | 3.2GHz(4.6GHz) | 6コア12スレッド | 65W |
Core i7-8750H | 12573 | 2.2GHz(4.1GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i5-8400 | 11745 | 2.8GHz(4.0GHz) | 6コア6スレッド | 45W |
Core i7-8700Kのスコアは15846で、無印のCore i7-8700の15171を若干上回っています。6コア12スレッドで、高い処理能力を有しています。CPU負荷の高い、RAW現像や動画のレンダリングなどにも適しているといえるでしょう。
CPU-ZによるCPUスコア
シングルスレッド | マルチスレッド | |
Core i7-8700K | 508.5 | 3811.7 |
CINEBENCHによるCPUスコア
CINEBENCHによるスコアはこの通りで、スコアは「1402」となりました。以前にテストしたCore i7-8700のパソコンも1400ほどです。まったく同じ構成ではありませんが、スコアに大差は出ないという結果になりました。
ストレージ性能
メインストレージはSSDを+HDDのデュアル構成です。ここまでしっかり構成を考えてくれててすごいです!カスタマイズすると予算が積み上がってしまうので、そのまま使えるパソコンという意味ではコスト的に見てもありがたいです。
・Cドライブのスコア
SSDは速い!
・Dドライブのスコア
大容量(2TB)のHDDです
CドライブとDライブを比較すると「読み込みが2.5倍」「書き込みが2.4倍」速いのがわかります。パソコンを使っている間は倍近い差がずっと生まれてくる訳です。
パソコン購入直後はソフトをインストールしたり、アップデートのために再起動を繰り返したりという儀式がありますよね。そうした時にHDDだと疲れてしましますが、高速なSSDなら最低限の時間で済みます!
そのままのSSDでも充分に速いのですが、プロユースで使える構成ですから、速度にこだわって「NVMe M.2 SSD」にカスタマイズするのがおすすめです。読み込みで3000MBsという圧倒的速度になります。
参考:NVMe M.2 SSDの速度
▼カスタマイズはチェックを入れるだけなので非常に簡単です。
パソコン工房さんのサイトでもおすすめになっていました。通常よりも圧倒的に早い速度でデータ転送ができるので、データをよく扱うクリエイターにはメリットが大きいカスタマイズです。
グラフィック性能・ゲームスコア
SENSE-R037-i7K-QZRに搭載されているグラフィックは「Quadro P2000」です。グラフィックボードとしてはミドルの位置づけになります。RAW現像、動画編集、軽めのゲーム、イラスト・CGなどにもおすすめですね。
ここからはベンチソフトを使って実際どのくらいの3D性能があるのかをテストしていきます。
CINEBENCHのベンチマーク
結果は195.43fpsでした。こちらもなかなかの数字になっています。
FF15(重たいゲーム)のベンチマーク
標準品質 | 3840×2160 | 動作困難(1722) |
軽量品質 | 3840×2160 | 重い(2408) |
高品質 | 1920×1080 | 普通(3666) |
個人的には「Quadroがどれくらいゲームに使えるのか?」が気になっていましたが、4Kは動作困難という結果になりました。フルHDに落としてやっと普通ですので、P2000はそこそこの性能という感じです。
アクション系の動きが激しいゲームを快適に遊びたい人や、4K動画編集などを想定している人はもう少しハイグレードのグラボを選ぶのが無難です。
写真編集・RAW現像にかかる時間は?
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「5分57秒」でした。
撮影に使ったのは2400万画素の一眼レフで、データ容量は5GBです。現像に使ったソフトは無料ソフトの「RawTherapee5.4」で、JPEG品質は90%、高画質での変換です。
マウスコンピューターのクリエイターモデル「DAIV DGZ520シリーズ」は、Core i7-8700で「5分31秒」だったのでやや物足りない気はします。⇒DAIV DGZ520シリーズのレビューはこちら
動画性能や処理にかかる時間は?
使用した動画編集ソフトはResolveです。
4K動画(24P)約5分間の映像のレンダリングにかかった時間は、約3分30秒でした。データ容量は3.67GBです。
書き出しの条件は以下の通りです。
・フォーマットはMP4
・コーデックはH.264
・解像度は3840×2160
・フレームレートは24
・品質は最高品質
SENSE-R037-i7K-QZRの動画レンダリングは、このクラスとしては標準的です!エントリーモデルと比較すると速いのですが、クリエイターモデルとして売り出している割には「期待を超えてはこなかった」という印象・・・
Quadroをはじめてテストさせてもらったので変に期待しすぎたかもしれません・・・
×264 FHD BENCHMARKによるスコア
x264 FHD BENCHMARKでは「スコアが45.8」「エンコード時間が55秒」という結果になりました。参考までにCore i7-8700ですと「スコアが45前後」「エンコード時間は55秒前後」という結果です。あまり変わりません。
うまく性能を引き出せていない要因があるのかもしれません。
出荷日は?
パソコンがいつ手に入るか気になる人も多いでしょう。マウスコンピューターの出荷予定日は「注文が確定してから2~7営業日で出荷」です。ちょっと開きがあるのが謎ですね。購入したらできるだけ早く手元に欲しいと思うのが人間ですから、もう少し計算できるようしてくれると有難いですよね。
SENSE-R037-i7K-QZRを開封!
それでは届いたパソコンを開封していきたいと思います。付属品は「電源ケーブル」「有線のキーボードとマウス」「変換アダプタ」です。段ボールの中にパソコンが入っているだけという無駄を省いた梱包です。開封の喜びとか、華美な装飾は一切ありません。BTOショップですからこんなものでしょう。
SENSE-R037-i7K-QZRの外観写真



出典:パソコン工房
外観はとてもシンプルですが筐体は非常に大きいです。足元に置こうと思っている人は、気を付けないと場所をとりすぎてしまって邪魔になるかもしれません。
フロントはUSBや電源ボタンくらいしかありませんが、DVDドライブがついているのが好印象です。(最近は省かれてしまうことが多い)
電源ボタンはブルーに点灯します。ちょっとまぶしく見えますが、実際は小さいあかりです。
パソコン内部へのアクセスはロックを解除して行う!
パソコンのメモリを増設したり、メンテナンスのために開ける場合は、ねじを2本取り外してロックを解除する必要があります。写真を見れば「上にあげるんだな」ということがわかりますが、最初はスライドするものだと思って悪戦苦闘しました・・・
パソコン内部を公開
内部はスペースが目立つ・拡張性は高い
パソコンを開けてびっくり、おどろくほどスペースが空いています。無駄なものを配置する必要はないのですが、さすがに「これならもう1周りコンパクトにできのでは?」と思ってしまいます。
たくさんHDDを追加できるという意味では、写真や動画をたくさん扱う人にはありがたいかもしれませんね。
2018年の8月から電源が変更になった
公式ホームページによると電源が変更になっているとありました。電源の品質にこだわる人は注意しておきましょう。
※2018年8月2日より搭載電源を500W 80PLUS SILVER認証 ATX電源から500W 80PLUS BRONZE認証 ATX電源へ変更しております。
引用:パソコン工房公式HP
インターフェース
・USB3.0 6個 (背面×4、前面×2)
・USB3.1 2個(背面×2)
・miniD-sub15Pin×1/DVI-D×1/DisplayPort×1
・ヘッドフォン/スピーカ出力×1
・マイク入力×1
・LANポート×1
静音性・騒音・熱は気になる?
音に関してはほとんど気になりませんでした。さすがに負荷のかかる作業をしたときにはファンが回りますが、デスク下にある分には耳障りということはありません。
熱に関しても内部にあれだけスペースがあるので、高熱がこもるということは少ないでしょう。振動も皆無です。
SENSE-R037-i7K-QZRはこんな人におすすめ
出典:パソコン工房
- Quadro搭載パソコンが欲しい人
- 日常的に編集作業で使いたい人
- RAW現像をガンガンやりたい人
- プロフェッショナルなPCが欲しい人
- 10bitのカラー出力に対応したい人
- コスパの高いパソコンが欲しい人
SENSE-R037-i7K-QZRシリーズの感想まとめ
「SENSE-R037-i7K-QZR」を開封しながらスコアをとってきましたが、プロフェッショナルが求める性能を持ちながら格安だなと感じました。
クリエイター目線だと「色」はどうしても気になってしまうので、こだわりが強い人は「Quadro搭載」から選ぶのがおすすめですね。
ただ性能の割にスコアが伸びないという側面もあったので、DAIVのDGZ520も一緒に検討してみるとよいかもしれません。⇒DAIV DGZ520シリーズのレビューはこちら
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