マウスコンピューター様よりクリエイター向けの「DAIV 4Pシリーズ」をお借りしましたのでレビューします。
1kgを切る驚きの軽さながら、RAW現像をはじめとするクリエイト作業が快適に行なえるパフォーマンスをもち。14型WUXGA(1,920×1,200)解像度、sRGB比約100%に対応するなど、出先でしっかり作業が行える仕様も嬉しい。パソコンを持ち出す機会の多いユーザーには魅力的な製品です。
ベンチソフトの結果や、実際にRAW現像、動画編集にかかった時間なども掲載していますので参考にして下さい。
DAIV 4Pシリーズの性能
公式HP:https://www.mouse-jp.co.jp/
マウスコンピューターのDAIV 4Pシリーズは、DAIV史上最も軽量なパソコンです。なんと言っても1kgを切る軽さが特徴!マグネシウム合金採用で、軽量性と堅牢性を両立させています。CPUはCore i7-1165G7を採用しパフォーマンス面でも非力さはありませんので、外出時でもしっかりと作業ができるパソコンになっています。
メーカーによると従来モデルよりも、シングルコア性能は約1.19倍 、マルチコア性能は約1.49倍向上したとのこと。またCPU内蔵型のグラフィックとしては強力な、インテル Iris Xe グラフィックスにより、高い描画性能と機械学習処理やエンコード作業を行うことが可能になりました。個人的には内蔵グラフィックは信用していないタイプなのですが、11世代はかなり強力になっているとのことで検証結果が楽しみです。
DAIV 4Pの基本構成(スペック)
モデル(2021年) | スペック | 価格 |
DAIV 4P | Core i7-1165G7 / 16GB / Iris Xe / 512GB SSD | 153,780 |
DAIV 4P-E | Core i7-1165G7 / 16GB / Iris Xe / 256GB SSD | 142,780 |
DAIV 4P-H | Core i7-1165G7 / 32GB / Iris Xe / 1TB SSD | 175,780 |
詳細 | >公式サイトをチェックする |
※構成は記事執筆時の内容で、変更になる可能性があります。
DAIV 4Pには、スタンダードモデルと上位モデルが用意されています。大きなちがいはメモリとストレージ容量なので、カスタマイズで増設するつもりの方は最初からDAIV 4P-Hを選択すると費用が抑えられるかもしれません。これとは別にオフィス付きのモデルも存在しますが割愛させていただきます。
パーツの話がピンとこない方は、下記の参考記事をご覧ください。基本的なことが理解してもらえるはずです。
CPU Core i7-1165G7の性能
DAIV 4Pに搭載されているCPUは第11世代のCore i7-1165G7です。4コア8スレッドのCPUで、通常は2.8GHzで動作し、負荷がかかった時にはオーバーブーストで最大4.7GHzまでオーバークロックします。
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i7-1165G7 | 10605 | 2.8GHz(4.7GHz) | 4コア8スレッド | 15W |
Core i7-10510U | 6960 | 1.8GHz(4.9GHz) | 4コア8スレッド | 15W |
Core i7-10750H | 12575 | 2.6GHz(5.0GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
消費電力が小さい割にはスコアが10000を超えており、クリエイト作業にも十分耐えられそうな予感がします。バッテリーのもち×パフォーマンスのバランスが良ければ、モバイル時のRAW現像なんかも捗ります。
従来の軽量モバイルノートに採用されていたCore i7-10510Uと比較しても約50%ほど高いスコアです。逆にCore i7-10750Hからは約18%落とす形になっています。ちょうど両者の間を埋めるCPUとしての存在にはなりますが、グラフィック性能が高められている点も忘れてはなりません。そういう意味ではCore i7-1165G7はなかなか良い働きをしてくれそうです。
CPU-Zによるベンチマークスコア
CPU-Zによるスコアは以下の通りです。
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core i7-1165G7 | 613.7 | 2788.8 |
Core i7-10510U | 402.8 | 1411.0 |
Core i7-10750H | 503.1 | 3169.5 |
シングルスレッドのスコアが613.7、マルチスレッドが2788.8となりました。
非常に高いシングルスレッドスコアが特徴で、マルチスレッドはやや控えめといった印象です。Core i7-10510Uと比較すると、シングルが約52%、マルチが約97%も高いスコアです。
RAW現像などの作業や、シングルスコアが有利に働くゲームなどでは期待がもてるでしょう。マルチスレッドなどが効く動画編集などでは、やや適正が落ちるかもしれません。
CINEBENCH R20によるベンチマークスコア
CINEBENCH R20スコアは、シングル569で、マルチ2315でした。なかなかどうして、しっかりとしたパフォーマンスが出ている印象です。
CPU | シングル | マルチ |
Core i7-1165G7 | 569 | 2315 |
Core i7-10510U | 474 | 1534 |
Core i7-10750H | 471 | 2566 |
やはりシングルのスコアが高い傾向にあり、マルチはやや控えめです。Core i7-10750Hと良い勝負をしているので、軽量モデルだからといってパフォーマンス面での心配は無用でしょう。
ストレージ性能
Cドライブは512GB NVMe SSDです。Readで2100MB/sを超える速度を見せてくれました。パソコンの起動はもちろん、アプリの立ち上げやインストールも高速です。キビキビとした動作は使っていて本当に気持ちよかったですね。
インテル Iris Xe グラフィック性能・ゲームスコア
DAIV 4PにはCPU内蔵型のインテル Iris Xe グラフィックスが搭載されています。CPU内臓としてはかなり強力という噂を耳にしますが実力やいかに?
参考までに、PassMark社の公開しているスコアをどうぞ。
GPU | スコア |
Intel Iris Xe |
2884 |
GeForce MX250 | 2563 |
GeForce MX150 | 2356 |
GeForce GTX1650 | 6969 |
なんとGeForce MX150、MX250あたりよりも高いスコアとなっています。GeForce GTX1650のような本格的なグラフィック性能はもたないものの、補助的な使い方なら十分耐えそうな気がします。CPU内蔵グラフィックもここまできたんですね。
FF15(重たいゲーム)のベンチマーク
GPU | 設定 | スコア |
Intel Iris Xe | 1280×720(軽量品質) | 普通(3508) |
MX250 | 1280×720(軽量品質) | 普通(3891) |
GTX1650 | 1920×1080(標準品質) | やや快適(5128) |
重量級タイトルで有名なFF15では、かなり設定を下げれば遊べます。ゲーマーにとって満足いく結果ではないでしょうが、GeForce MX250に迫るスコアだと思うと悪くありません。
軽めのゲームなら遊べるでしょうし、FF15のような重めのゲームでも動くのであれば、モバイル先で取引や会話の確認など用途は広がります。とは言え、ゲーム目的ならGeForce GTX1650のようなグラボが搭載されているモデルを選ぶほうが良いでしょうね。
RAW現像にかかる時間は?
約150枚(5GB)のRAWデータを一括変換した時にかかった時間は「5分17秒」でした。快適と言うにはちょっと遠い気がします。
現像に使ったソフトは無料ソフトの「RawTherapee」で、JPEG品質は90%、高画質での変換です。このソフトはかなり重たいのですが、画像の表示も速く、編集を当てても一瞬なので快適でした。
参考までに過去のテスト結果をご紹介します。
CPU | 処理時間 |
Core i7-1165G7 | 5分17秒 |
Core i7-10510U | 8分45秒 |
Core i7-10750H | 5分10秒 |
RAW現像の書き出し時間は非常に速く、モバイルノートの域を超えていると言っても過言ではないでしょう。Core i7-10510Uでは待たされる印象もありましたが、Core i7-1165G7ではそのような印象は受けません。上位CPUのCore i7-10750Hと比較しても遜色ないタイムです。
1Kgを切るモデルでこのパフォーマンスはちょっと驚きです・・・重たいカメラやレンズを背負ってパソコンまで持つとなると肉体的な負荷も相当でしたが、DAIV 4Pなら負担を小さくしてくれるはずです。持ち運び用に欲しくなってきますね(笑)
動画の書き出しにかかる時間は?
使用した動画編集ソフトはResolveです。
4K動画(24P)約5分間の映像のレンダリングにかかった時間は、約12分11秒でした。データ容量は3.67GBです。
書き出しの条件は以下の通りです。
・フォーマットはMP4
・コーデックはH.264
・解像度は3840×2160
・フレームレートは24
・品質は最高品質
4K動画を扱うのはさすがに厳しいという印象で、書き出し時間もかなり長くなってしまいました。一度フルHDに変換したり、プロキシ編集といったひと手間を加える必要がありそうです。(個人的にはそれでも動画編集をしようとは思えませんでしたが)
動画編集は簡単なカット割りとか、短めの動画を作る程度なら問題ありません。しかし長時間の動画や効果を多様するようなら避けたほうが良いでしょう。餅は餅屋という言葉があるように、動画編集なら強力なグラボが載っているパソコンを選ぶほうが幸せになれるはずです。
>>DAIV 5Pレビュー(GTX1650Ti搭載でFHD動画編集におすすめ)
>>DAIV 5Nレビュー(RTX3060搭載で4K動画編集に対応)
パソコンはうるさい?静音性は?
DAIV 4Pは通常利用ならほぼ無音で使うことができます。膝に乗せていても熱くなりにくく、思いついた時にすぐ使えるのはメリットです。負荷のかかる作業ではさすがにファンが回りますが「サー」という音で不快感はありませんでした。
出荷は遅い?どれくらいで到着するの?
パソコンがいつ手に入るか気になる人も多いでしょう。DAIVの出荷予定日はだいたい「注文が確定してから4~5日程で出荷」です。これはカスタマイズをした場合でも変わりません。
当日15時までに注文が確定した場合の目安で、土日祝は注文が確定されません。早く手元にパソコンが欲しい場合は注意しましょう。
DAIV 4Pを開封!外観チェック
性能面の話が続きましたが、ここからは外観やデザインなどを含めて使ってみた感想に移りたいと思います。
軽さは正義!指先でつまんで持てるレベル
DAIV 4Pはマグネシウム合金を採用した剛性のあるボディです。サイズは308.8×213×16.4mm、シルバーカラーで明るい印象に仕上がっているのも良いですね。女性でも使いやすいと思います。
重量はわずか985gしかありません。驚異の1kg切りです・・RAW現像などのクリエイト作業をきっちりこなせるパフォーマンスがあるのに、指先でつまんで持てるレベルです。
横から見ても薄いです。クリエイトモデルにはありがたいSDカードスロットもあります。
裏面には排熱用やスピーカーの穴が見受けられます。直線を活かしたデザインでスタイリッシュな感じがします。
バッテリー駆動時間は約12時間とのことですが、ACアダプターとケーブルも小さいです。重量は約240gとのことなので、本体と合わせても約1.2kgにしかありません。
WUXGA×sRGB比100%のモニターを搭載
14.0型WUXGA(1,920×1,200)モニター搭載で、アスペクト比 16:10です。ちょっと縦に長いので、ワードやエクセルなどのビジネスソフトで情報をより多く表示したり、フルHDを確保したままフォルダ類を下に並べて作業できるので効率性が地味に良いです。
またsRGB比 100%の広色域パネルを採用しているため、出先での正確な編集作業も行えます。出先でのちょっとした現像作業や確認用としては十分ではないでしょうか。
DAIV 4Nのインターフェース
・HDMI
・SDカードリーダー(UHS-Ⅰ)
・Thunderbolt 4(右側面)
・USB3.1 Type-C(左側面)
・USB3.0×2
・Wi-Fi 6、Bluetooth 5
・ヘッドホン出力、ヘッドセット等
インターフェースも充実しており、モバイルPCにありがちなインターフェース不足を感じさせません。Thunderbolt 4はディスプレイ出力と共用で、Type-CはPD対応となっています。USB3.0も常時給電対応となかなか使い勝手が良いです。個人的にはSDカードリーダーが搭載されているのがポイントが高いです。
DAIV 4Pのキーボード
キーボードは自然な配列で、それぞれのキーが小さいながらもタイピングのしやすさという点では悪くありませんでした。打鍵感を楽しむようなタイプではありませんが実用的だと思います。
DAIV 4Pのデメリット
・液晶品質がもう一歩
・描画性能は普通
軽量モバイルPCとしては十分に高い性能をもつDAIV 4Pですが、CPU内蔵グラフィックはそこまで強力なものではありませんでした。たしかにMX250に近い性能を発揮してはいるのですが、もう少し性能が高いと動画編集やゲーム用途でも使えるのにな・・という印象。この用途を満たそうとするなら「DAIV 4N」「DAIV 5P」あたりも視野に入れると良いでしょう。1.5kg前後の製品なので、少し重たくなってしまいますが「色々できる」という点を考えると使い勝手は良いでしょう。
また液晶がsRGB100%とのことですがクリエイターモデルとしてはもう一歩ほしいかなという印象。たしかにキレイではあるのですが、肉眼で見るとやや黄色みがかかったような感じもしました。あえてケチをつけるならというレベルではありますが、一般的なモニターとそう変わらない印象です。
DAIV 4Pはこんな人におすすめ
- 軽さとパフォーマンスを両立したい人
- 性能よりもフットワークを重視したい方
- RAW現像やイラストなど静止画中心の人
- モバイル用のサブパソコンが欲しい方
公式HP:https://www.mouse-jp.co.jp/
DAIV 4Pの感想まとめ
DAIV 4Pは、軽量なモバイルPCとしては処理能力が十分に高く、もたつく印象を一切感じさせませんでした。軽めのゲームや動画編集なら十分こなせるだけのパフォーマンスはありますし、マグネシウム合金製のボディは軽量モデルにありがちなチープさもありません。
某メーカーの1Kg以下類似スペックなら20万円はくだらないことを考えても、税込みで15万円という価格は競争力があるんではないでしょうか?思った以上にパワフルに使えたので、個人的にも1台欲しくなりましたね。
マウスコンピューターは国内生産の安心できるメーカーさんです。魅力的なパソコンを他にも多数販売しています。より高い性能を求める方は、こちらの記事も参考にしてください。
当ブログは予算や目的、パーツなどからパソコンが選べるようになっております。ぜひトップページからお気に入りの1台を見つけてください。